エピローグ
自分のチームでできたクッキーを食べて、
他のチームが作ったクッキーを分けて貰い、
スキンブルシャンクスが淹れた紅茶を皆で飲む。
猫たちは皆、お菓子作りの話で盛り上がっている。
シラバブの楽しそうな笑顔を見て、マンカストラップはほっと一息ついた。
ミストフェリーズがお菓子の家の煙突から煙を出している。
「みんな、いいか」
談笑している猫たちも、ぐってりとへばっている猫たちも
一斉に顔を上げてマンカストラップを見た。
「色々あったと思うが」
しっちゃかめっちゃなあれこれを「色々」で片付けるリーダーは
どうしてなかなか大したものである。
「みな楽しんでいたようだし」
一部の猫たちは僅かに眉を顰めたが、
大抵の猫たちは特に「楽しんで」という言葉に違和感はないようだ。
「試作会は成功と言える」
結果だけ見れば全てのチームがクッキーを無事作り終えた。
過程をさておいて考えるなら、ひとまずは成功だろう。
「これを生かして、また作ってみるのもいいだろう」
「今度はみんなでブリオッシュ作りたい!ね?」
ジェミマは隣に座っていたランペルティーザに同意を求めた。
「それいいかも!カーバもそう思うでしょ?」
「暫く菓子作りは勘弁してくれ」
「そんなこと言って、結局手伝ってくれるんだから」
女性や子どもたちの頼みは断れないのは何もカーバケッティだけではない。
皆の前に立つマンカストラップも同じこと。
ただ、彼の場合は大層な不器用であると大抵の猫たちに知られていて
敢えて彼を誘うとしたら彼を無垢に慕う幼子くらいだろう。
「ひとまず」
一声発すれば周りの猫たちが静かになる。
例え不器用でもリーダーの威厳に傷は付かない。
「今回は無事に終わったということで、これ以上のことはない。
これで解散とするが、みな食べすぎにはくれぐれも注意するように。
それじゃあみんな、メリー・クリスマス!」
「「「メリー・クリスマス!」」」
メリー・クリスマス!
無理やりまとめ上げるリーダー万歳。
てんやわんやでしっちゃかめっちゃか。
何があろうが最終的な着地点には辿り着くジェリクルよ永遠なれ。