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最終更新日: 2018-11-11
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芝居違いのギャグにつき閲覧注意。


ギルバートの部隊は、食事時がうるさいほどにぎやかだ。
隊長をはじめとした、特に男性隊員は大喰らい。
食事を作るジェミマとジェニエニドッツは大忙しだ。

「あ、ジェミマ。それ、何だ?」

マキャヴィティが大きな入れ物を抱えてきたジェミマに尋ねる。
ジェミマはスタスタとマキャヴィティに近付くと、ぱかっとふたを開けた。

「カネロゥニィ!」

そしてぱふっとふたを閉じ、持って行ってしまった。
マキャヴィティは良い芳いの湯気に包まれ、暫し唖然とするのだった。

その時、神妙な顔つきのヴィクトリアが、部屋に入ってきた。

「隊長、司令です。最近勢力を伸ばしている海賊が
 この近海に出没したので討伐するように、とのことです」
「そう、ですか。では明日皆に伝えます」

フォークをくわえたまま、ギルバートは了承の返事をした。





「…というわけで、これから討伐に向かいます」
「あ、いい作戦があります」

参謀のカーバケッティが挙手。
風変わりな男で、思いつく作戦はことごとく奇抜だ。

「何です?言ってみて下さい」
「いえ、ちょっと皆の前では…」
「では皆にはここで待ってもらいますので外で聞きましょう」

カタンと、ギルバートが立ち上がる。
しかし、出ていこうとした彼をカーバケッティが制した。

「言えませんよ、企業秘密です」

カーバケッティとギルバートの視線がぶつかった。

「・・・んな作戦が使えると思ってんのか、エセ紳士!」
「あんだとこのチビ!」

何故か始まる悪口合戦。
身長コンプレックスのギルバートに「チビ」は禁句だ。

「そうだそうだ、誰にも言えない作戦なんて無理だ」
「うちの参謀はおかしい!」

いつの間にか、カーバケッティに非難が集中する。

「みんな待って!」

必死に叫んだのはカッサンドラ。

「そんなにメソを責めないで!」

彼女の哀しげな目に、皆は反射的に口を閉じる。
メソって誰だ。
胸中に抱いた疑問を口にする者はいない。
俺じゃないんだ。
カーバケッティもその言葉は口にしなかった。

「隊長!」

そこに走り込んできたのは、船の調整をしていたタンブルブルータス。

「どうしたんです?」
「海賊が現れました!迎え撃ちますか?」
「それは」

ディミータの声に、タンブルブルータスは何事かと振り向いた。

「すごいルール違反です」

真剣に言うディミータの肩をポンと叩いたのはボンバルリーナ。

「行くわよ」
「あ、皆さんもすぐ船に乗って下さい」

ギルバートが思い出したように言い、隊員たちは慌てて準備にかかった。










海賊船は結構大きい。
船上の影だけを数えても、乗組員はかなり多く見えた。

「とりあえず時間がありません。捕縛命令が来ているのでそのつもりで対峙して下さい」

海賊船に近付き、接舷しない程度の距離で停止する。

「こちらはシャム猫海軍の艦艇部隊だ。
ここをシャム国の領海と知っての侵入か!通行証を提示しろ!」

無駄とわかっていても型どおりの警告はする。

「バカか!」

敵将は鼻で笑った挙げ句、あかんべーをする。
数でまさっているからか、それとも所詮は一部隊とギルバートらを飲んでかかっているのか、
海賊たちがひるむ様子は毛の先ほども見受けられない。

「言うだけ無駄ですね。よしカーバ、行け!」
「え…俺だけですか?」
「そうですよ、作戦があるんでしょう?
 接舷して飛び移る時間を稼いでもらえれば充分ですから」

ギルバートはカーバケッティを押しやった。
こちらの船の上で戦うと船に負担が掛かってしまう。
補修費用云々の報告書を書くのは面倒だからできれば相手の船で闘いたい。

「わかりました。それでは」

カーバケッティはすてすてと舶先まで歩いていった。
剣も携えずに。
そして、敵将の前に立つと、ピシッと姿勢を正し、極上の笑顔を浮かべた。

「よーぅこそいらっしゃいました、セニョーラ、セニョール」

キレイな巻き舌で、手を差し伸べる。
海賊たちはぽかんとした表情でカーバケッティを見ている。
この参謀官の奇行は今に始まったことでもなく、部隊の面々は慣れたもので、
ギルバートたちは相手が呆けている隙にうまく海賊船に飛び移った。





ずかずかと相手の船の奥まで乗り込んだマキャヴィティは、やたらでかい図体の男と鉢合わせた。
とはいえ、多くの命の危機を乗り越えてきたマキャヴィティの敵ではない。
相手の剣をひっかけるようにしてはじき飛ばすと、カランと乾いた音を立てて甲板を滑った。

「動くんじゃないぞ」

そう言って、マキャヴィティは相手を縛り上げるためのロープを準備し始めた。
そのロープを手に目を上げると、相手の男がはじいたはずの剣を構えて立っている。
マキャヴィティの赤い眼が怪訝そうに細められる。

「お前、動いただろ」

当然です。
相手の男は胸中で呟いた。





「思ったより強いじゃないか」

少し間を取って、タンブルブルータスは言った。
敵方の若い男も相当な剣の使い手だが、リーチが長い分タンブルブルータスがやや優勢だ。

「タンブル、大丈夫そう?」

傍にいたタントミールが尋ねてくる。

「問題ない」

今迄もっと強い相手と剣を交えたこともある。

「さあ、覚悟しろ!」

相手に向かって剣を突きつけるタンブルブルータス。
ところが、敵の男は何を思ったかニヤニヤとしている。
そして口を開いたかと思えば、

「バーカ、デーカ、ターコ、ハーゲ」

タンブルブルータスをののしり出した。
彼も熱い男、挑発には乗りやすいタイプなのだ。
一気に間合いを詰めると相手の鳩尾に一発、こぶしでお見舞いした。
それでも気が収まらないのか、うずくまる男を見下ろして言った。

「河へ投げ込め!」

ドスの利いた声が甲板に響く。

「タンブル」

背後から声を掛けたのはランパスキャット。

「海だ」

別段いさめにきた訳でもなく、つっこみに来たというところか。
そして、まだ呻いている男の傍にかがみ込む。

「なかなかいい腕をしている。俺の軍隊に入れてやろうか?」
「ふん、からかいのつもりか」
「ほめて、いるのさ」

口許にうっすらと笑みをたたえるランパスキャット。

「ランパス」

ご機嫌な男に、ギルバートが名前を呼びながら近付いてきた。

「あなたはいつから軍隊を持つほど偉くなったんです?」
「あ、隊長」
「あ、隊長じゃないでしょう。大変なんですから手伝って下さい」

ランパスキャットが立ち上がると、そこここで皆が剣を振るっている。
闘いに不慣れなジェミマやジェリーロラムも頑張っていた。





「動くな!」

太い声が響き、シャム猫軍の隊員らは動きを止めた。

「な…バブ!?」

ボンバルリーナは思わず声を上げた。
なんとシラバブが敵方の海賊につかまってしまったのだ。

「俺たちの邪魔をしないって言うならコイツを放してやってもいい。
 だがこれ以上邪魔をするなら・・・」

ぐっとシラバブののど元に剣をつきつけ、ニヤリと笑う男。
突然のことに、ギルバートもうまく対処できずに固まっている。
その時、ジェリーロラムがランパスキャットの傍でうずくまっている男のところに
つかつかと歩み寄ってきた。
そして、その男の首に手を回しをグイと引っ張って無理矢理立たせ、喉元に剣を押し当てた。
敵も味方も固唾を飲んで成り行きを見守っている。
ジェリーロラムは敵将に鋭い視線を送り、口を開いた。

「貴方は私たちからすべてを奪い、自分のものと言った」

言ってません。
というか何もまだ奪ってません。
胸中突っ込んだのは敵将だけではない。

「貴方の理屈に従えば、この男の命は私のものということになるわ」

敵将に、そんな理屈をこねた覚えはなかった。
が、このままでは本当に若い男の命が危ないと判断したのだろう。
シラバブを捕まえている男にむかって放してやれと命じた。
相手方がシラバブを解放したのを見て、ジェリーロラムも海賊の男を放した。





「このままじゃ埒があきませんね」

ギルバートは敵方の多さにうんざりと溜め息を吐いた。

「隊長、俺が一角を崩します。その間に敵将を捕まえて下さい」
「でもカーバ、相手方はかなり強いんですよ。無茶です」
「少しくらいリスクを負わずして勝負はつきません。それじゃあ、頼みますよ」

カーバケッティは敵将を取り巻く海賊たちにむかって切り込んでゆく。

「ちょっと待って!危ないわ!」

走り出したカーバケッティを止めようとしたのはヴィクトリア。

「放っておいてやれよ、彼は正しい!」

彼女の背後からコリコパットが怒鳴る。
ヴィクトリアはビクリと動きを止めた。
カーバケッティが切り込むのを見てランパスキャットとマキャヴィティも動く。
元々、カーバケッティの動きを合図に彼らも切り込む算段だった。
しかし目的の場所に辿り着く迄に、思いがけず強そうな男たちが彼らの行く手を阻んだ。

「おいおい」

カーバケッティは少々青ざめた。
荒くれ者の海賊相手に自分ひとりで耐えられる程強いとうぬぼれるつもりはない。

「カーバ危ない!」

叫んだのはタントミール。
直後、きれいに蹴りを喰ったカーバケッティがバランスを崩して甲板に倒れ込む。
敵将が、お決まりのようにカーバケッティの背を踏みつける。
ギルバートたちは動きを止めてそちらを見た。

「そろそろ飽きてきたな。コイツを解放してほしいなら隊長さんと交換だ。
 隊長はどいつだ?何ならコイツを血祭りに上げてもいいが」

敵の大将はニヤリと下卑た笑いを浮かべる。
ぎりっと歯を噛み締め、ギルバートは相手を見る。
カーバケッティはずっと前から傍にいてくれた大切な仲間、見捨てるわけにはいかない。

「さあ!コイツの首が飛ぶぞ!隊長はどいつだ!?」
「待…っ」「私が!」

出ていこうとしたギルバートを遮り、ランペルティーザが敵将の目の前に飛び出す。

「私が…アイーダです」

真剣な目で、自分がアイーダだと訴えるランペルティーザ。
そして暫く、異様な沈黙が当たりを支配する。

「てめぇ、いい加減に…どわっ!?」

逆上した敵将に何かが当たったらしく、後ろに倒れた。
自由がきく身体になったカーバケッティはさっと立ち上がり、
近くで唖然としている海賊たちを蹴り倒す。
それを機にギルバートが総攻撃を指示する。
隊員らが一気に敵方の海賊たちを捕らえにかかる。
敵将に何かを投げつけたのはジェミマ。
投げたものはそこらに落ちていた木の棒らしい。
飛び道具を使うのは慣れているし、命中率もかなり高い。

「とりあえず、司令部まで連行します」

ギルバートは縛り上げた海賊たちに言った。

「ふん、そりゃあ刺激的なところだろうな」
「いえ、鼻に付くんです」

投げやりに言う敵将に、にっこりと微笑んだのはシラバブ。
イヤそうに溜め息を吐いた敵将は、隣に立っていたギルバートに言った。

「お前の部下はやけに女が多いな。男はどんだけだよ?」

ギルバートは、ぐるり、と仲間たちを見回し、ふわりと微笑んだ。

「ファイブだよ」

そして、コリコパット、ランパスキャット、カーバケッティ、タンブルブルータス、
マキャヴィティと順に指し示しながら

「ワン・ツー・スリー・フォー・ファイブだ」

さわやかに言ってのけた。

「あぁ…そう」

お前は数に入らないのか。
そんな突っ込みすらバカバカしくなったのか、照りつける太陽を忌々しく睨みつつ
敵将は別段抵抗するでもなくおとなしく座っている。










「カーバ、早く脱ぎなさい」
「いや、大丈夫だ」

胸だか腹だかを打っているカーバケッティを診ようとするタントミール。
一方のカーバケッティは、先程から変に遠慮ばかり。

「後で痛みだしたら大変なの。脱がなくて良いからとりあえず座って」
「問題ないって、これくらいいつものことだし」
「いいから座って!」

えらい剣幕で怒られ、反射的にカーバケッティは近くのベッドに腰をおろした。

「でもほら…」
「黙って!」

タントミールのドスの利いた声にカーバケッティは固まった。
そんな声を扉一枚隔てたところで聞いていたヴィクトリアは、書類を持って立ち上がった。

「聴取、交代してきます」

不法侵入の海賊たちを、陸に付くまで形式だけでも事情聴取しなければならない。
今はカッサンドラが頑張っているはずだ。

「あ。ヴィク、ついていくよ」

コリコパットが続いて立ち上がる。
しかし、ヴィクトリアはふるふると首を振った。

「私ひとりで行かせて」
「あ…うん」

コリコパットは結局、ヴィクトリアを見送るのみとなった。





もう日が暮れかけている。
海賊を確認していたボンバルリーナは、甲板に出てきた。
そこではタンブルブルータスが水深を確認している。

「タンブル、この先けっこう浅いんだけど大丈夫?」
「もうちょっと水抜く方がいいかもしれんが、波も出て来たから迂闊なことはできない」

そう言って長身の男は困ったようにボンバルリーナの方を振り返る。

「自信もって良いのよ。貴方の判断はいつも正しいもの」
「ありがたい言葉だが、その判断に至るまでのこの逡巡が溜まらなく厭なものだ」
「そういう時は自分に言い聞かせるの。胸に手を当ててね・・・」

タンブルブルータスは素直に言われたとおりにした。
柔らかい。

「ねえ、タンブル」
「ん?」
「私の胸じゃないのよ」
「そ、そうか」

慌ててタンブルブルータスが手を引いたところで、ジェリーロラムが甲板に上がってきた。

「そろそろ食事よ、中に入って」
「ええ、わかったわ」

先ほどから良い匂いがしていた。
戦いに勝利した後の食事はさぞかし美味いだろう。





「やっぱり働いた後のご飯はおいしいですね」

もりもりと食べるギルバートと隊員たち。
マキャヴィティがパンに手を伸ばしている横を、ジェミマが大きな入れ物を抱えて通り過ぎる。

「おうジェミマ、それ何だ?」

声を掛けられたジェミマはスタスタと寄ってきて、パカッとふたを開けた。

「マニカッティー!」

そして、パフッとふたを閉じ、行ってしまった。



今日もまた、賑やかなご飯になりそうだ。




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芝居違いで頑張る第一艦艇部隊のみなさん。
ジェリーロラムがいるのでかなり初期の段階ですね。

まず、アイーダとコンタクト、マンマを観たことがないと意味不明と言うか
何一つおもしろくないという問題がありますが
これもギャグと言うことで軽く笑って許して下さい。

誰がどの芝居違いやってるかわかっていただけたでしょうか・・・?
突っ込みどころ満載なところから危うくスルーしそうなものまで
色々ありますが、以下に詳細を載せておきます。
え、いらんですか?まあそう言わず。
出て来た順番でいきます。

ジェミマ
 「コンタクト」よりトニー(H氏イメージ)

カッサンドラ
 「夢から醒めた夢」よりピコ

ディミータ
 「異国の丘」よりボチさんこと九重秀隆

カーバケッティ
 「コンタクト」よりウェイター

マキャヴィティ
 「コンタクト」より夫

タンブルブルータス
 「アイーダ」よりアンサンブル一枠(T氏イメージ)

ランパスキャット
 「アイーダ」よりラダメス(A氏イメージ)

ジェリーロラム
 「アイーダ」よりアイーダ

コリコパット
 「マンマ・ミーア!」よりサム(W氏イメージ)

ランペルティーザ
 「アイーダ」よりネヘブカ

シラバブ
 「マンマ・ミーア!」より多分エディ

ギルバート
 「コーラスライン」よりラリー

ヴィクトリア
 「夢から醒めた夢」よりマコ

タントミール
 「マンマ・ミーア!」よりロージー(A氏イメージ)

ボンバルリーナ
 「クレイジーフォーユー」よりパッツィー


()内はかなり勝手なイメージです。脳内で声が蘇るのです。
マンマはどっちの台詞だったか忘れました。
T氏イメージですが、エディもペッパー観たからわからんのです。

マキャとタントがわかりにくいかな。
でも、マキャの後は敵さんが突っ込みしてくれてるしな。
カーバがかなり可愛そうな役回り。しかもちょっとウザい。

アイーダは大阪公演以来観ていませんが、
台詞の言い回しとか間の取り方が結構変わっているらしいですね。

私が観た時は、例のネヘブカの台詞は

「私が・・・アイーダです」

だったのですが、もしかして今は

「私がアイーダです」

になっているのでしょうか。

あと、ラダメスの台詞で

「ほめて、いるのさ」

とありますが、F氏ラダメスだと

「ほめているのさ」

だった気がします。

イメージって大切ですね。
無駄にアイーダアンサンブル一枠とかいますけど、衝撃的なほど滑舌が悪くて

「ああいあえおえ(全部濁点付き)!」

と聞こえたT原氏(退団なさったのかしら)イメージです。

とまあ色々あるのですが、

コンタクトはただただウケたので多様されていて、
アイーダはそれなりに突っ込みどころ満載なので使われ、
その他は覚えているものをちょこちょこ使いました。
ACLの「ファイブだよ」は相当衝撃的でしたね。
ラリー、そういうキャラだったか!という感じで。

コメント長いですかスミマセン。
笑って許して下さい。


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